つなぎ目が弱い [コミュニケーション研修]
捕獲用の網に獲物がかかると、逃げようとして網に力がかかります。
このとき、網のある一定のところに力が集中します。
縦ひもと横びもが固く結ばれていると、そこに負荷が集まり、切れやすくなります。
結び目ごとに、だんごが出来てしまうので、重量も重くなり、水中、空中での網の抵抗も増えるのです。
この課題を克服するために、縦横の繊維を撚り込んで、結び目をつくらないように網が作られています。
かかる負荷が分散され、軽量でコンパクトにもなります。
建築物においても、つなぎ目は負荷のかかりやすい場所です。
鉄骨のつなぎ目には、補強の厚い鉄板が貼り付けられて、何本ものボルトで硬く結合されています。
高架道路では、道路と道路のつなぎ目の真下に橋桁がくるようになっています。
その上で、補強もきっちりとされています。
電車の線路のつなぎ目にも、当然のように対策が施されています。
つなぎ目というところには、それだけ力がかかるところなのです。
それがわかっているから、力に耐えうるだけの対策が講じられているのです。
組織にも、「つなぎ目」は多く存在しています。
しかし、補強されているケースは多くありません。
細い糸が、強い力に切られないように必死で闘う姿がそこにはあります。
この「つなぎ目」には、膨大な情報も行き交います。
一度フィルターをかけ、わかりやすくそしゃくして伝えた方が良いものでも、さばききれません。
入ってきた情報を、そのまま流すのがやっとなのです。
業績のかげりが見えてくると、スリム化の対象にされやすいのが「つなぎ目」の部署です。
営業や販売・接客のように、直接売上を稼ぐことがないという判断をどうしても下されやすいのです。
営業マンたちが売上をあげることに専念できている背景を知らずに、安易に「つなぎ目」を縮小させると全体の生産性が大きく低下する危険性があります。
「つなぎ目」は単なるつなぎ役ではなく、意思をもった判断を下す必要があるのです。
ここが弱ければ、強い組織にはなりえません。
そのことを十分に理解しておかなければなりません。
ものまね、似顔絵はなぜ似るのか? [コミュニケーション研修]
似顔絵を描くとき、本物そっくりに描写しようとするほど、似なくなってしまうそうです。
たしかに大胆なデフォルメ(誇張表現)し、少ない線で描かれたものの方が、リアルなものより似ていることがあります。
有名人のモノマネも同じで、本人を忠実に真似しても、それほど似ているとは思えないものです。
ところが、特徴的なしゃべり方、しぐさ、くせなどを少しおおげさに真似ると、よく似てきます。
飲食店のショーウインドーに飾られている食品サンプルも同様に、実物に似せすぎないことが、「本物に見せる」コツらしいです。
人はすべての情報を取り入れるわけではなく、記憶に残りやすい特徴的なことだけを無意識のうちに取捨選択する傾向があります。
人間の五官を通してインプットされる情報は、日々膨大な量になります。
フィルターもかけずに、そのまま脳へ送りんこんでいると、すぐにオーバーフローしてしまうでしょう。
そこで何らかの制御が必要になってきます。
まずは情報が入る段階での選別があります。
その人にとって興味・関心のないものの情報は、物理的に存在していても”見えていない”し”聞こえてもいない”ものです。
嫌いなもの、イヤなものに対しては、積極的な態度で情報をシャットアウトします。
また、情報が複雑になってきたり、わかりにくくなってくると、受信感度はたちまち低下してしまいます。
受け入れたものでも脳の自己防衛として、新しい情報が入ってくると、古い情報はどんどん上書きされていきます。
ですから、一度にたくさんのことを、人に伝えようと思わないほうが賢明です。
せっかく時間をかけても、記憶に残るのはほんの一部にすぎません。
普通の会話や雑談なら意識する必要はありませんが、相手に自分の意思を伝えたいときには、どうやればいいかをよく考えたほうがいいです。
話のポイントをきるだけ絞りこんで(多くても3つ)、余計な情報を与えないようにすれば、理解もしやすく、印象に残りやすくなります。
どこをどう強調するかを見極めるには、鋭い洞察力と経験がやはり欠かせません。
達人が描いた似顔絵をまねることはできても、一から自分で描いても似せることはなかなか難しいものです。
特徴を見つけ出し、人に伝わりやすいように工夫する。
これを繰り返すしか他に道はありません。
レオタードをはいた男性 [コミュニケーション研修]
「掃除機をかける」
「洗濯機を回す」
「テレビをつける」
「アイロンをかける」
「冷蔵庫に入れる」
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「電子レンジ・・・?」
家電のこれをを使うとき、”電子レンジ”ということばあまり出てきません。
コンビニでお弁当を買った場合、店員さんは「温めますか?」と聞いてくれます。
家で家族に頼むなら、「それ、チンして」と言う人が大半でしょう。
モノゴトに名称や呼び方がなかったら、とても不便です。
”あること”について、人とコミュニケーションしようとしても、お互いの認識が合っていないかも知れません。
インターネットで調べようにも、検索をかけるキーワードをどう入れればいいか、悩んでしまいます。
「名無しの権兵衛」では、なにかと都合が悪いものです。
世の中の流行や、社会現象などはマスメディアがことばを見つけたり、創り出してくれますから、みんなで話題を共有しやすいです。
ところが、中には表現が難しいものもあったりします。
ぱっと思い浮かぶのは、体操競技の技の名前です。
「懸垂後ろ振り前方開脚屈身宙返り懸垂」みたいな、ながーい技があったりします。
テレビ中継があったら、アナウンサーの方も大変だろうと思ってしまいます。
長い上にわかりにくので、技を考え、成功させた人の名前がつけられているケースも多いです。
「コバチ」や「トカチェフ」などがそうで、「モリスエ」さんや「ツカハラ」さんも”います”。
個人の名前がモノゴトに使われているケースは、結構あるものです。
ブランドのシャネルやルイ・ヴィトンもそうですし、X線のレントゲン、服のカーディガン、電力単位のワット、電圧単位のボルト、断頭台のギロチン、アメリカの国名もイタリアの探検家に由来しています。
よくクイズなどで出てくるのは、サンドイッチです。
イギリスのサンドイッチさんが、トランプ遊びの合間に食べるため考え出したと言われています。
レオタードも人名由来ですが、当人は男性でフランスの軽業師だそうです。
日本でも、着物の友禅や、いかさまの八百長、京菓子の八つ橋などが名を連ねます。
料理に使う包丁もそうですが、これは中国人の名前が源流にあります。
中国古代の有名な料理人の名前が、料理をする人のことをさし、その後刃物を呼ぶようになったのです。
みんなが共通認識を持てるネーミング。
スムーズなコミュニケーションには欠かせません。