ものまね、似顔絵はなぜ似るのか? [コミュニケーション研修]
似顔絵を描くとき、本物そっくりに描写しようとするほど、似なくなってしまうそうです。
たしかに大胆なデフォルメ(誇張表現)し、少ない線で描かれたものの方が、リアルなものより似ていることがあります。
有名人のモノマネも同じで、本人を忠実に真似しても、それほど似ているとは思えないものです。
ところが、特徴的なしゃべり方、しぐさ、くせなどを少しおおげさに真似ると、よく似てきます。
飲食店のショーウインドーに飾られている食品サンプルも同様に、実物に似せすぎないことが、「本物に見せる」コツらしいです。
人はすべての情報を取り入れるわけではなく、記憶に残りやすい特徴的なことだけを無意識のうちに取捨選択する傾向があります。
人間の五官を通してインプットされる情報は、日々膨大な量になります。
フィルターもかけずに、そのまま脳へ送りんこんでいると、すぐにオーバーフローしてしまうでしょう。
そこで何らかの制御が必要になってきます。
まずは情報が入る段階での選別があります。
その人にとって興味・関心のないものの情報は、物理的に存在していても”見えていない”し”聞こえてもいない”ものです。
嫌いなもの、イヤなものに対しては、積極的な態度で情報をシャットアウトします。
また、情報が複雑になってきたり、わかりにくくなってくると、受信感度はたちまち低下してしまいます。
受け入れたものでも脳の自己防衛として、新しい情報が入ってくると、古い情報はどんどん上書きされていきます。
ですから、一度にたくさんのことを、人に伝えようと思わないほうが賢明です。
せっかく時間をかけても、記憶に残るのはほんの一部にすぎません。
普通の会話や雑談なら意識する必要はありませんが、相手に自分の意思を伝えたいときには、どうやればいいかをよく考えたほうがいいです。
話のポイントをきるだけ絞りこんで(多くても3つ)、余計な情報を与えないようにすれば、理解もしやすく、印象に残りやすくなります。
どこをどう強調するかを見極めるには、鋭い洞察力と経験がやはり欠かせません。
達人が描いた似顔絵をまねることはできても、一から自分で描いても似せることはなかなか難しいものです。
特徴を見つけ出し、人に伝わりやすいように工夫する。
これを繰り返すしか他に道はありません。
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