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メタボーイング787 [わかる化]

 

もしも、ボーイング社のB787型機の機体が、アルミ箔のような薄い素材で作られていたとしたら、空高く飛んでいるとき、”メタボ”な体つきになってしまうでしょう。

 

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私たちが普段、生活している平地は酸素や窒素など大気の重みがかかっています。

海面上には1気圧(1013.25ヘクトパスカル)の圧力がかかっているのです。

高度が高くなれば、大気の荷重が減っていきますので、気圧も下がっていきます。

山を登っていくと、空気が薄くなることは皆さんもイメージできるでしょう。

 

 

登山のときに、袋入りのポテトチップスを持っていくと、おもしろい現象が起きます。

標高の高い場所で、ポテトチップスの袋を取り出してみると、パンパンに膨れた姿が見られます。

 

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袋の中は”平地”の気圧で、約1気圧。

標高2,000m程度になると、気圧は0.8くらいに下がります。

袋の外側の圧力が低いので、袋が膨れ上がるのです。

 

 

袋を開けずに登山口まで戻ってくれば、膨張した袋も本来の姿を取り戻します。

下山とともに、外気圧が高くなるからです。

 

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飛行機がポテトチップスの袋と同じように、大きく膨らんだりしぼんだりしたら、怖くて仕方がありません。

当然、機体は丈夫な素材で作られ、変形は最小限に抑えられています。

しかし、機内の気圧と外気圧の差が大き過ぎると、機体にかかる負荷もそれだけ増えてしまいます。

そこで、航空機の内部を地上よりも低い気圧に設定し、圧力差を減らして対応しています。

 

ボーイング社によると、現行の旅客機の機内は気圧高度「8,000フィート」だそうです。

1フィートは30.48cmですので、8,000×0.3048=2,438.4mとなり、およそ富士山の六合目(2,390m)あたりの気圧と同じくらいなのです。

この気圧だと、不快に感じたり、身体に変調をきたしやすいので、B787では気圧高度を「6,000フィート」にして、気圧を高めているのです。

1,828.8m(6,000×0.3048)の高さは、富士山の三合目(1,840m) 付近と同じレベルになります。

気圧高度を東京スカイツリーの高さ分くらい、下げて(2,438.4m→1,828.8m ▲609.6m)、機内の気圧上げてあげると、不快に感じる人の比率を効果的に低下させられるようです。

 

機内の圧力が高めるには、それに耐えるように機体に使われている素材を厚くするなどの対応が求められます。

板厚が厚くなれば、機体は重くなってしまい、燃費悪化の要因になりかねません。

そこで、787型機には、”軽くて丈夫な素材”が採用されたのです。

それは、日本の東レが開発した炭素繊維複合材料の「トレカプリプレグ」です。高強度炭素繊維と硬質のエポキシ樹脂を混合した複合材で、翼や胴体を含めた主要部位に使われています。

この素晴らしい素材があったからこそ、20%削減という驚異的な燃費も実現しますし、機内でも快適にすごせるのです。

まもなく、営業運行が開始されますが、一度乗ってみたいですね。

 

 

 

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 「体形を維持できる”素材”着てます」

 

 

 

 


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