30年後は、アフリカ製の・・・ [マーケティング感覚]
昨日(10月7日)、予約が始まった「iPhone 4S」には、長い行列ができるほど人気が集まっていました。
想像はついていましたが、やはり魅力的な商品には多くの人が注目します。
せっかく予約しても、手に入るまで一週間程度かかるそうなので、予約された人は待ち遠しいでしょう。
世界最先端の「iPhone 4S」の製造は、アップル社がやっているわけではなく、台湾の製造受託企業が中国の工場で行っているそうです。
アップル社の開発力があるといっても、あれほど精密な製品を作りあげる技術力には目を見張るものがあります。
今から30年ほど前のことを思い出すと、余計にそう感じてしまうのです。
その日、私はアルバイトで大阪・梅田の地下街にある時計や雑貨を扱う店舗で販売をしていました。
「コレ、デンチ?ジドウ?」
カタコトの日本語で、そうたずねてくる団体さんがいました。台湾からやってきた観光客の皆さんです。
お土産に、日本製の腕時計を買おうと品定めをしていたのです。
店内の時計をアレコレと物色し、絞り込んだ商品を差し出して聞いてきたのでした。
私には彼の問い掛けが不思議でなりませんでした。
その当時、水晶発振のクオーツ時計は普及していましたし、デジタル時計も様々なタイプが百花繚乱のように次々と発売されていたからです。
当然、店の主力商品もクオーツとデジタルが中心で、自動巻きの商品はほとんど置いてありませんでした。
自動巻きの時計は、日本ではすでに”時代遅れ”の商品と化していたのです。
私は好奇心にかられ、時計の説明とあわせて、こんな質問をしてみました。
「クオーツの時計だと月の誤差は15秒以内で、1日に1秒も狂わず、非常に時間が正確です。
デジタル時計も同じで誤差は少ない上に、デザインやバリエーションが豊富で、人気もありますよ。値段もそんなに変わりませんし。
自動巻きの商品は、この辺のものになりますけど・・・
どうして自動巻きなんですか?」
ガイド役の彼の説明はこうでした。
・クオーツやデジタルは時間が正確で、人気があるのは知っている
・しかし、『電池交換』の必要性がある
・ボタン電池を手軽に入手できない(当時の台湾 価格、流通含)
・手巻きでは、台湾の人も喜ばない
・時間精度の高さに価値をそんなに感じない
これは大きな衝撃でした。
デジタル時計が世の中に出始めた頃、高校のクラスメートが初めて着けてきたデジタル時計は、3万円以上もしていました。
クラスのみんなが、その時計を見て感嘆の声をあげ、そして欲しがったものです。
手巻きや自動巻きの時計はすでに過去の遺物で、もう誰も見向きもしないと思いこんでいたのです。
使う場所や人、状況などが変わると、”価値観”が違うことを痛感しました。
そのとき、30年後に台湾企業が最先端の技術やアイデアが詰まった製品を製造しているとは、まったく想像できませんでした。
また、30年後、今度はアフリカのどこかの国が超最先端の製品を作っているかもしれませんね。
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