”職業病”にかかろう [営業マン自習室]
あなたは自分が販売する商品・サービスについて、いつも気にとめているでしょうか。
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事業仕分されてもプレゼン一番 [営業マン自習室]
営業をしていると、お客さまから提案を求められることがあります。コンペ形式で競合各社がプレゼンを行い、クライアントが自社の条件とイメージに一番近いものを採用します。
お客さまへのプレゼンは競合する企業が順番に実施していくのが一般的です。時間帯を分けて1日でやることもあれば、日を変えて行われることもあります。
同時にやることは少ないですから、順番が決められてプレゼンをすることになります。先方から日時を指定されることもありますが、こちらの希望が通るのなら、一番最初にやらせてもらいましょう。
プレゼンをする側は提案内容を少しでもよくするための時間がほしいと、プレゼンの順番をできるだけ後にしようとする傾向があります。わずかな時間でも、他社よりも良いものを提案したいという思いは大切です。しかし、プレゼンを後にすることのマイナス面を理解しておく必要があります。
どういうことかというと、同じ条件のもとでプレゼンする企画や提案内容を各社が考えるのですから、類似した内容になったり、かぶってくる可能性があります。
たとえば、A社とB社がプレゼンテーションを実施するとします。まずA社が先にプレゼンします。続いてA社と入れ替わりでB社がプレゼンを始めます。
B社のプレゼンが進むにつれ、クライアントが「どこか、A社の提案内容と似ているな・・・」と思い始めたとしたら・・・。こんな場合、A社とB社がそれぞれ独自に考え出した企画のプレゼンだったとしても、先にプレゼンをした方が有利です。
初めて聞いたときには感動したことでも、2回目以降は感動の度合いが薄れていってしまいます。1回目の感動を1とすれば、2回目は1/4、3回目は1/9、4回目は1/16という具合に、回数の二乗に反比例していきます。
人の気持ちを正確に測ることは困難ですし個人差もあり、あくまでも感覚的な話になりますが、自分の経験に照らし合わせてみれば、あまり違和感はないと思います。
映画館で観たときには感激した映画をテレビで観たら、それほど心に響かなかった。そんな感じでしょうか。
同じアイデアや類似の企画が他社からも提案される可能性があるのなら、先陣をきったほうが有利です。2番では意味がありません。そうすれば万一のときでも、あなたのプレゼンはお客さまの記憶にとどまりやすく、優位に立てます。
メーカーの宣伝部門に在籍していたとき、クライアントとしてプレゼンテーションを聞く機会がよくあり、実感していたことです。
ただし、気をつけるべきこともあります。人の記憶は上書きされやすいので、あとからのプレゼンが印象に残りやすくなります。いくらプレゼンのトップバッターになったとしても、肝心な提案の中身とプレゼンテーションそのものの質を高かめなければ意味はないのです。
お客さまは、あなたを覚えない [営業マン自習室]
営業マンがお客さまに、商品やサービスを買っていただくには、まず自分自身を知ってもらう必要があります。
ルートセールスなどでは、継続的に売れるお得意先を引き継ぐこともありますが、担当が替われば売上が落ちてしまうことはよくあることです。
コミュニケーションがうまくとれずに足が遠のいてしまい、しだいに敷居が高くなってしまったという経験は、営業マンなら誰でもあるでしょう。
逆に、ほんのちょっとしたことで、お客さまと仲良くなれることもめずらしくありません。趣味のことだったり、応援しているスポーツチームのことだったり、共有できる”何か”が潤滑油の役割を果たしてくれます。
人は、相手のことを知るほどに好感をもちやすくなるものです。営業マンはお客さまに”知ってもらう”努力が欠かせないのです。
ほんの1、2回会っただけで、自分のことを覚えてくれていると、錯覚しない方がいいでしょう。こちらが思っているほど、相手はあなたのことを覚えてはいないものです。
あなたは商品やサービスを買ってもらいたい気持ちがあるので、買ってくれるかもしれないお客さまに強い関心をいだいているはずです。
一方でお客さまは、よほど魅力的か入手困難なモノでなければ、あなたに興味をもつ可能性は低いのです。名刺を渡したとしても、顔と名前はなかなか一致しないのです。
名刺に顔写真やイラストなどを入れれば、すこし親近感が増すでしょう。
事務所のビル1Fにあるポストに、営業用のチラシがよく投函されていますが、内容もいろいろで営業マンや会社の個性みたいなものが見えてきて興味深いものがあります。
実際に投函されていたチラシをいくつかご覧ください。
これは、OA機器販売会社の営業マンのようです。
自分で考えて、自作されたのでしょう。でも、受け取る方は少し困惑してしまいそうです。
- 氏名
- 生年月日
- 出生地
- 育ち
- 好きな食べ物
- お酒
- 趣味、特技
プロフィールとして書かれているのは上記の項目ですが、人物像が今一つ見えてきません。
また、どんな商品やサービスを提供できるのか、具体的なものがわかりません。
こちらは、金融関係の営業マンのようです。
オーソドックスで生真面目な感じのする、どこか履歴書のような自己紹介票です。
あいさつ文につづき、以下の内容が記されていますが、お客さまが興味を引きそうな内容はあまりありません。
- 氏名
- 生年月日
- 出身地
- 出身校
- 趣味
最後に、こちらのチラシです。
パソコンなどの修理やトラブルのサポートをしてくれるようです。
この会社が提供できるサービスが細かく書かれていて、価格メリットや対応の早さなども情報として載っており、お客さまの関心をひくための網を大きく広げている感じがあります。
担当者の方の顔写真も載っていて、問い合わせはフリーダイヤルで対応しています。
サービスの詳細はホームページで確認することも可能なようです。
このようなチラシを作るときは、以下をポイントにすればいいでしょう。
- 顔写真を載せる(怖い顔つきのものはNG)
- プロフィールは公開可能な範囲で詳細に ※エピソード等があればさらに良い
- 名前には「ふりがな」をふっておく ※特に読み違えされやすい方
- 商品、サービスをわかりやすく紹介する
- 少しでもお客さまに役立ちそうな情報を入れるようにする
- お客さまが連絡しやすいよう、複数のコミュ二ケーション手段を用意する
とにかく、試してみることが一番大切です。
反応がよくなければ、どんどん改善していけばいいのです。
まずは、行動に移しましょう。
出来てるかな?パーセントとポイントの使い分け [営業マン自習室]
いきなり出題です。
あなたは、パソコンメーカーの営業マンです。
今秋、新商品のパソコンが発売されます。メーカー希望小売価格は100,000円(税別)で、あなたの取引先の特約店には希望小売価格の50%で納入する旨、交渉にいきました。
すると、先方の仕入れ担当者の方から、仕入れ台数を1割上乗せするので、5%値引きをして欲しいと要請されました。
すぐに上司に電話をして相談すると、先方の条件受け入れを承認してくれました。
さて、あなたは1台いくらで納入しますか?
一応、選択肢をご用意しました。
【A】45,000円(税別)
【B】47,500円(税別)
【C】A、B以外の金額
さて、どの解答を選ばれたでしょうか。
業界や流通、商慣習によって答えが違ってくる可能性はありますが、”より正しく”は【B】の47,500円です。
【A】を選ばれた方は、「希望小売価格の50%で納入する約束だったから、5%引きで45掛け(45%)の45,000円」と考えられたのでしょう。
希望小売価格の45%を要望するなら、「あと5ポイント値引きして欲しい」あるいは「あと10%(パーセント)値引きして欲しい」というべきです。
「パーセント」と「ポイント」の使い分けがされていないケースは、日常生活の中でもよく見かけます。
たとえば、現在の野田内閣の支持率が60%だとします。一年後、野田首相の奮闘ぶりが評価され、支持率が70%になった場合、「内閣支持率が10%もアップしたよ!」みたいな会話があちこちで聞こえてくるでしょう。
60%の人が10%増えたのなら、0.6÷0.9=0.66・・・、約66.7%の支持率になります。
70%の支持率のケースでは、(0.7-0.6)÷0.7=0.1428・・・、約14.3%(パーセント)支持率が増えたと、表現しましょう。
「10」の数字を使うときは、「10ポイント支持率が上がった」という具合に使う必要があります。
本当は、パーセントポイント がより正確な表現のようですが、パーセントは省略され、ポイントだけで使われていることが大半です。
ビジネスにおいて「パーセント」と「ポイント」が使い分けできていないと、収益を悪化させるリスクがあります。
案外、知らない営業マンも多いので、まわりの人にも教えてあげてください。
9.1%、13%、16.7%見覚えある数値は危険 [営業マン自習室]
営業マンは日常的に数字に接する職種です。
見積件数、契約物件数、見込み数字、受注台数、売上進捗等々、さまざまな数字と日々向き合っていることでしょう。
そんな中、あなたは「9.1%」、「13%」、「16.7%」、この3つの数値に見覚えがあるでしょうか?
もし、この数値になじみのある人は注意が必要です。
一度、チェックしてみましょう。
ここに仕入れ原価10,000円の商品があります。
粗利率を10%にするには、いくらで販売すればいいでしょうか?
考えてみてください(消費税は無視してください)。
あなたの解答はいくらになりましたか。
「11,000円」と答えた方、ブッー。
不正解です。
おそらく、10,000円×1.1=11,000円と計算されたのではないかと思います。
実際に計算して、検証してみましょう。
粗利率は、売上金額に占める利益額の割合がどれくらいあるかを示す指標です。
ここでは、利益額は1,000円(11,000円-10,000円)で、売上金額は11,000円です。
計算してみると、1,000円÷11,000円=0.0909・・・になります。
残念ながら粗利率は10%にはならず、9.1%です。
上記と同じ計算方法で、粗利率15%、20%の場合をそれぞれ検証してみます。
【粗利率15%の場合】
10,000円×1.15=11,500円
1,500円÷11,500円=0.1304・・・になります。
粗利率13%です。
【粗利率20%の場合】
10,000円×1.2=12,000円
2,000円÷12,000円=0.1666・・・になります。
粗利率は16.7%です。
「そんな営業マンはいない!」と主張される方もいるとは思いますが、粗利計算を理解していない、間違って覚えている、という営業マンは存在します。
あなたの身近なところで、9.1%、13%、16.7% という数字(粗利率)をよく目にすることがあるのであれば、存在の可能性は高いでしょう。
間違った計算がどれだけ利益に影響するか、みてみましょう。
仮に営業マンAさんの売上を月1,000万円、粗利率20%とします。
年間売上は12,000万円で、正しい計算だと粗利額は2,400万円(12,000万円×0.2)になります。
間違った計算だと、粗利額は2,004万円(12,000万円×0.167)で、年間でなんと400万円もの違いがでてくるのです。
社内で、正しい粗利計算のやり方を統一・徹底するだけで、利益が改善する可能性があります。
もし、あなたが間違った計算をしているのでしたら、早速改善してみましょう。
最初のつまずき、「アラリ」ってなんだ? [営業マン自習室]
人材育成の一環として、営業マン向けの研修を受けた経験のある人は多いでしょう。しかし、あなたはその研修を日常の仕事にいかしていますか。
おそらく、大半の人は十分に活用できていないと思います。学んだことは実践して、自分なりに使いこなしていかない限り、成果は現れてきません。
この「営業マン自習室」では、営業のヒントになるような内容のものを、できるだけわかりやすくお伝えしていく予定です。日々、意識をもって復習を繰り返しながら自分自身を高めていってください。
さて、はじめて営業の仕事についた人にとっては、見たことも聞いたこともないようなことが次から次へと出てきます。
「粗利」もその一つだと思います。
たとえば、「売上」ということばはイメージできても、「粗利」を知らない人はたくさんいます。
私も新卒で営業マンになりたての頃、取引先の部長から大阪弁でこうまくしたてられたことを鮮明に覚えています。
「この物件、うちの粗利8%しかないんや。うそ違うで、見積り見せるわ。せめて10%なかったら、やってられへんで。なんとか協力してや」
このとき「アラリ」ということばを生まれてはじめて聞きました。
(※新入社員研修で教えてもらっていたのかもしれませんが、私の記憶には、一切残っていませんでした)
見積書を見せてもらい 、書かれていた金額を手帳に書き写すと、「一度検討させてください」とその場を離れました。
インターネットはもちろん、携帯電話もない時代です。「アラリ」を調べるため、本屋さんを探し、すぐに飛び込みました。
それらしい本を物色してみると、「アラリ」は「粗利」と書き、「粗利益(あらりえき)」、「売上粗利(うりあげあらり)」、「粗利率(あらりりつ)」、「粗利額(あらりがく)」、「営業粗利(えいぎょうあらり)」等々、いろんな表現で使われていることを知りました。
カンタンに説明すると、売上金額から仕入れ原価の金額を引いた残りが粗利です。
たとえば、商社や卸売り・小売業の場合、仕入れ原価80,000円の商品を100,000円で売ったとすると、粗利は20,000円になります。
計算 100,000円(売上)-80,000円(仕入)= 20,000円(粗利)
※製造業(メーカー)の場合は仕入れ原価でなく、製造原価になります。
粗利を売上で割ると、粗利率が出ます。
計算 20,000円(粗利)÷100,000円(売上)= 0.2(= 20%)
通常、粗利率は%(パーセント)で表しますので、この場合は「粗利20%」などになります。
会話の中では、「あらり20ぱー(粗利20%)」、「あらりてんぱー(粗利10%)」、「あらり2わり(粗利2割)」というような表現もよく出てきます。
営業マンにとって、「粗利」は重要なものです。繰り返し、しっかりと理解しましょう。